★FANBOX2周年記念 新刊同人誌プレゼント企画!
FANBOX2周年記念に新しい同人誌を作り、応募者全員にお届けしました。
あとがきには、希望者のお名前をクレジットし、記念にして頂けましたらと考えた一冊です。
表紙画像です!


Brave New World――私たち対、世界!
※この記事は、コロナ禍の始まった2020年に書いた文章を、再掲にあたって再構成したものです。
今回の表紙は、『ちかのこ』単行本第5巻、そして『E☆2』の表紙に続く、アリスを主題にした三枚目のイラストです。
そして三枚目となる今回は、再スタートを感じさせる不思議な世界と、そこへ立ち向かうチカ、ノコ、ラブバニを描きました。
「Brave New World」という言葉
イラストのタイトルは、Brave New World。
現在、この言葉からはオルダス・ハクスリーのディストピア小説『すばらしい新世界』を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、さらに遡ると、その出典はシェイクスピアの劇『テンペスト』にあります。
O brave new world
That has such people in’t!
世間を知らずに育ったミランダが、初めて多くの人間を目にして、「なんて素晴らしい新世界なのでしょう」と感嘆する場面です。
ここで使われている当時のbrave は、現代語の「勇敢な」というよりも、「立派な」「素晴らしい」という意味に近い中世英語でした。けれども2020年の私は、そこへあえて、現代の「勇敢な」という意味も重ねました。
これからコロナの緊急事態宣言を経て、社会のあり方が少し変わっていくのだろうと、誰もが感じていた時期です。ニューノーマルだとかの言葉が生まれました。そんな世界に対して、「チームちかのこ」に属してくれている人たちが、少しでも勇敢に立ち向かうことができますように。
そんな思いを、この絵に込めました。
疫病の時代とシェイクスピア
シェイクスピアは、16世紀末から17世紀初頭にかけて活躍した、イギリス・ルネサンスを代表する劇作家です。
「ルネサンス」とは、古典文化の復興、すなわち「再生」を意味します。
もちろん、ペストの流行がそのままルネサンスを生んだ、と単純に結びつけることはできません。しかし、疫病によってそれまでの社会秩序や価値観が大きく揺らぐなかで、人間とは何か、社会とは何かを見つめ直す文化的な転換が進んだことは確かだと考えます。
シェイクスピアが活動していた時代のロンドンでも、ペストの流行によって劇場はたびたび閉鎖されました。1592年から1594年、そして1603年以降にも、長期にわたって上演できない時期があったそうです。しかし、そのように舞台が閉じられても、創作そのものがなくなったわけではありません。2020年の私たちは、まだ飽きもせず創作を繰り返していました。
シェイクスピアは劇場の閉鎖中に物語詩を書き、劇団は地方を巡業し、観客や支援者、仲間たちとの関係をつなぎながら活動を続けました。社会の形が変わっても、表現を受け取り、支える人がいるかぎり、創作は別の形を見つけて続いていきます。2020年の私は、その姿に自分たちを重ねていたのかもしれません。
新しい世界へ
私もまた、いつも作品を読んでくださる皆さんに支えられながら、創作を続けています。だからこそ、支えてくださる皆さんへ、感謝の気持ちを込めて何かを届けたいと思いました。
これからの毎日に、勇敢に立ち向かう人たちのために。
チカとノコ(とラブバニ)と一緒に立ち向かう世界。
Brave New World.
素晴らしくて勇敢な新しい世界へ。
らぐほのえりか


